宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

銀河鉄道の夜(発想の原点)

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-仏教と異界への入り口に登場する植物-

Keywords: アスパラガス,文学と植物のかかわり,源氏物語,草木国土悉皆成仏,法華経,カラスウリ,カワラナデシコ,マツ,境木,夢の橋 童話『銀河鉄道の夜』第四次稿は,地上世界はアラビア(イスラム教)風で,天上世界(=死後の世界)はキリスト教的…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-「ほんたうのさいはひ」と瓜に飛びつく人達(2)-

Keywords: アイヌ,バチェラー八重子,文学と植物のかかわり,物質的な豊かさ,同化,義人,違星北斗,熟した苹果のあかし,精神的な豊かさ,知里幸恵,瓜 前報(石井,2019)で,賢治が童話『銀河鉄道の夜』を執筆していた頃,「アイヌ」の「滅びゆく民族」…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-「ほんたうのさいはひ」と瓜に飛びつく人達(1)-

Keywords:アイヌ,文学と植物のかかわり,同化,鴈シャモ,違星北斗,カワラハハコ,知里幸恵,鳥の押し葉,瓜 前報(石井,2019)で,稲作主体の農耕文化と接触する以前の「東北」に在住した狩猟採集民である「古代蝦夷(エミシ)」が,「アイヌ」の人達と…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-アワとジョバンニの故郷(2)-

Keywords: アイヌ,文学と植物のかかわり,エミシ,慈悲心鳥,縄文人,ヒノキとヒバ,いじめ,クジラ,まっくらな巨きなものの正体,サガレン,先住民 前報(石井,2019b)で,活版所の技術者達がジョバンニの粟粒のような活字を「ピンセット」で拾う動作に…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-アワとジョバンニの故郷(1)-

Keywords: アイヌ神謡集,粟,文学と植物のかかわり,文選作業,蝦夷(エミシ), まっくらな巨きなもの,ピパ,ピンセットで活字を拾う,先住民 童話『銀河鉄道の夜』は難解とされているが,この物語に登場する人物を賢治が生きた時代の実在の人物に当ては…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-イチョウと二人の男の子-

Keywords: 文学と植物のかかわり,双子性,ギリシャ神話,白鳥座,イチョウの生殖様式,出自の秘密,チュンセ童子とポウセ童子 童話『銀河鉄道の夜』は,「ほんたうのさいはひ」を求めて壮大な銀河宇宙を旅する物語である。最近,賢治に悲恋に終わった相思相…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-リンドウの花と母への強い思い-

Keywords:文学と植物のかかわり,ニワトコ,乳幼児期,リンドウ,リンゴ,精神分析学,夢判断 『農民芸術概論綱要』の中に「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という有名な語句が記載されている。賢治の作品には「自分の幸せ」よ…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-ケヤキのような姿勢の青年(2)-

Keywords:文学と植物のかかわり,移住者,先住民,スギ,タイタニック号遭難, 東北,槻(つき),大和朝廷 前報では「ケヤキ」がなぜ「大和朝廷」を象徴するようになったのかの理由について説明した。本稿では,賢治が「移住者」を象徴する「ケヤキ」を童話…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-ケヤキのような姿勢の青年(1)-

Keywords:文学と植物のかかわり,移住者,まっくらな巨きなもの,先住民,スギ,東北,槻(つき),大和朝廷 『銀河鉄道の夜』の初期形第一次稿(1924冬)の出だしに登場するのは「橄欖(かんらん)の森」である。この「橄欖の森」には物語の舞台が北米大陸…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-カムパネルラの恋(3)-

Keywords: アイヌ神謡集,バルドラの野原,文学と植物のかかわり,カーバイド,化石,蠍の火,先住民,炭酸石灰,ウミサソリ,楊(やなぎ) 本稿(2)に続けて童話『銀河鉄道の夜』がいかにして生まれたかについて,この物語に登場する「バルドラの野原の一…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-カムパネルラの恋(2)-

Keywords: アイヌ神謡集,文学と植物のかかわり,インディアン,絹で包んだリンゴ,高原,涙ぐむ眼,先住民,種山ヶ原 童話『銀河鉄道の夜』の初期形第一次稿は,四次稿の4分の1程度の長さの物語であり,大きく分けると「橄欖の森」,「高原のインディアン…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-カンパネルラの恋(1)-

Keywords : アイヌ神謡集,アイリス,文学と植物のかかわり,蛇紋岩,橄欖(かんらん)の森,ミズバショウ,先住民,スギ,種山ヶ原,ヤマザクラ 賢治は,童話『銀河鉄道の夜』の中で「ほんたうにみんなの幸せのためなら僕のからだなんか百ぺん灼(や)いて…