宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

烏の北斗七星

植物から宮沢賢治の『烏の北斗七星』の謎を読み解く(6)

6.「サイカチ」には鬼神が宿る 〈許嫁〉は2回目の夢の中でも「先住民」の「神」に対して祈りを捧げるが,今度は「まっ黒で巨きなもの」が具体的な鼻眼鏡をかけた山烏の姿となって現れる。烏には耳介がないので鼻眼鏡である。眼鏡は,13世紀にイタリアで発…

植物から宮沢賢治の『烏の北斗七星』の謎を読み解く(5)

5.恋物語 1)恋物語が挿入されているのはなぜか 賢治が童話『烏の北斗七星』に恋物語を挿入したのは,賢治自身がこの童話の初稿を書いたとされる日(1921.12.21)からこの童話が掲載されている童話集『注文の多い料理店』の印刷(1924.11.10)までの…

植物から宮沢賢治の『烏の北斗七星』の謎を読み解く(4)

4.戦いにおける祈りと泪(涙)の意味 1)烏の駆逐艦隊の泪の意味 童話『烏の北斗七星』では逃げる山烏を多数艦で囲み撃沈(殺戮)するシーンが描かれていた。〈烏の大尉〉は敵の山烏の頭に鋭く一突き食らわせ,その後に横から兵曹長が一突きして敵の山烏…

植物から宮沢賢治の『烏の北斗七星』の謎を読み解く(3)

前稿で,登場する植物を解読することによって,童話『烏の北斗七星』が「東北」の「先住民」と朝廷軍の三十八年戦争がイメージされていることを明らかにした。本稿から,三十八年戦争を念頭に置いて,烏の戦士達の戦いにおける北斗七星への「祈り」と「涙(泪…

植物から宮沢賢治の『烏の北斗七星』の謎を読み解く(2)

2.物語は「東北」の「先住民」と朝廷の三十八年戦争が題材になっている 童話『烏の北斗七星』は,「三十八年戦争」の中でも延暦13年(794)に朝廷側が行った蝦夷征討が主にイメージされているように思える。冬の田圃に横列で「仮泊」する「里烏」と思われ…

植物から宮沢賢治の『烏の北斗七星』の謎を読み解く(1)

目次 はじめに 1.物語の戦いの場所とモデルとなった過去の戦争 1)戦場は日本列島 2)物語に登場する栗や杉は戦争が先住民(狩猟採集民)と渡来人(農耕民)の子孫達の争いであることを示唆している (1)栗の登場が意味するもの (2)杉の登場が意味す…