宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

2021-05-03から1日間の記事一覧

植物から宮沢賢治の『烏の北斗七星』の謎を読み解く(3)

前稿で,登場する植物を解読することによって,童話『烏の北斗七星』が「東北」の「先住民」と朝廷軍の三十八年戦争がイメージされていることを明らかにした。本稿から,三十八年戦争を念頭に置いて,烏の戦士達の戦いにおける北斗七星への「祈り」と「涙(泪…

植物から宮沢賢治の『烏の北斗七星』の謎を読み解く(2)

2.物語は「東北」の「先住民」と朝廷の三十八年戦争が題材になっている 童話『烏の北斗七星』は,「三十八年戦争」の中でも延暦13年(794)に朝廷側が行った蝦夷征討が主にイメージされているように思える。冬の田圃に横列で「仮泊」する「里烏」と思われ…

植物から宮沢賢治の『烏の北斗七星』の謎を読み解く(1)

目次 はじめに 1.物語の戦いの場所とモデルとなった過去の戦争 1)戦場は日本列島 2)物語に登場する栗や杉は戦争が先住民(狩猟採集民)と渡来人(農耕民)の子孫達の争いであることを示唆している (1)栗の登場が意味するもの (2)杉の登場が意味す…