宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

銀河鉄道の夜(心理と出自)

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-「りんだうの花」と悲しい思い-

Key words:文学と植物のかかわり,竜胆,芝草,すゝき,源氏物語,野菊の墓 『銀河鉄道の夜』は,読書以外に,映画(アニメ,実写),ミュージカル,プラネタリウム版などでも楽しむことができる。中でも,プラネタリウム版は従来の光学的投影装置ではなく…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-「にはとこのやぶ」と駄々っ子-

Key words:文学と植物のかかわり,檜,ひば,ニワトコ. 前報で『銀河鉄道の夜』の主人公(ジョバンニとカムパネルラ)を紹介した(石井,2013)ので,本稿では脇役の子供たちを紹介する。一人は,氷山と衝突して沈没した船の乗客タダシで,もう一人はジョ…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-イチョウの木と二人の男の子-

Key words:文学と植物のかかわり, ギリシャ神話,イチョウの生殖メカニズム 前稿「幻の匂い」を執筆したとき,理解できずに私の心に強く残ったものがあった。それは,なぜジョバンニとカムパネルラが同時に同じ気配と予知を伴った「幻嗅」を体験したのかと…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-幻の匂い(2)-

Key words:文学と植物のかかわり,源氏物語,実体的意識性,気配,三木成夫,予知 前稿では,『銀河鉄道の夜』第二次稿から登場してくる「苹果(りんご)」や「野茨」の「匂い」を,嗅覚過敏や幻嗅で説明しようとしたが十分説明しきれなかった。今回,『銀河…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-幻の匂い(1)-

Key words:文学と植物のかかわり, 苹果,野茨,ばら,共感覚,幻嗅 「匂い」が快感や不快感を誘起したり, 食欲増進やリフレッシュ効果(リラックス効果)をもたらしたりすることはよく知られている。これら「匂い」や「香り」の特質から,「匂い」は教育,…