2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧
前稿(2)と(3)では「まっ白な貝細工のやうな百合の十の花のついた茎」が聖なる花であり「強い信仰心」を象徴しているということを記した。本稿(4)では,なぜ,この信仰心を象徴する百合の花を〈はだしの子供〉は10銭で売ろうとし,また〈大蔵大臣〉…
童話『四又の百合』では,この「四又の百合」を持つ〈はだしの子供〉は「日がまっ白に照って半分あかるく夢のやうに見える家」の前の「栗の木」の下に立っている。はたして,この〈はだしの子供〉とは誰か。この問の答えのヒントは,この童話と深く関係する…
前稿(1)で,「四又」で「まっ白な貝細工のやうな百合の十の花のついた茎」に相当する百合の花は自然界には存在しないということを報告した。では,〈はだしの子供〉あるいは国王が〈正徧知(しょうへんち)〉に渡そうとした1茎の「四又」で「十の花のつい…
『四又の百合』は大正12年(1923)後半に清書されたと言われている短編の童話である(原,1999)。この童話には「まっ白な貝細工のやうな百合の十の花のついた茎」という不思議な1茎の百合の花が登場する。多分,この「十の花のついた茎」とは童話の題名に…