宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

二十六夜

宮沢賢治の童話『二十六夜』に登場する爾迦夷(るかい)とは誰か

本稿では童話『二十六夜』に登場する捨身菩薩・疾翔大力の弟子である〈爾迦夷〉が誰をイメージして創作されているのかについて考察する。童話で梟(ふくろう)の坊さんは〈爾迦夷〉を以下のように説明している。 爾迦夷といふはこのとき我等と同様梟ぢゃ。わ…

童話『二十六夜』考-梟の子である穂吉の左脚に結ばれた「赤い紐」は運命の「赤い糸」か-

童話『二十六夜』はガチガチの宗教的な読み物のように見えるが,童話『やまなし』や寓話『シグナルとシグナレス』で見られるような悲恋物語も入れてある。すなわち,童話『二十六夜』は梟(ふくろう)の子である穂吉と人間の子の悲恋物語である。穂吉は3人…

童話『やまなし』になぜ蟹が登場するのか明らかにする(第3稿)-童話『二十六夜』との関連から-

童話『やまなし』が「仇討ち」を重要なテーマにしているという私の推測は,童話『やまなし』と同時期に書かれ,同じく「仇討ち」がテーマになっている童話『二十六夜』(1922 or 1923)を読むことで確実なものになってくる。童話『二十六夜』には小鳥や田螺…