宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

銀河鉄道の夜(種々)

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-赤い腕木の電信柱が意味するもの(2)

Key words:文学と植物のかかわり,発想の原点,ほんとうの幸,自己犠牲,近代科学,三角標,楊 ジョバンニが夢から覚める時に見た「赤い腕木」を持つ2本の「電信ばしら」は,「A」の形をした高圧送電線用の「電力柱」の可能性が高いと思われる。しかし,な…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-赤い腕木の電信柱が意味するもの(1)

Key words:文学と植物のかかわり,ケヤキ,近代科学,高圧送電線用A柱,三角標,スギ,擲弾兵(てきだんへい) 童話『銀河鉄道の夜』の最終章(ジョバンニの切符)で,ジョバンニは死んだ親友のカムパネルラと夢の中で天上を旅し,「みんなのほんとうの幸(…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-赤い点々を打った測量旗とは何か-

Key words:文学と植物のかかわり,宝石,近代科学,国際信号旗,レーザー,ラズベリー,ルビー,三角測量 童話『銀河鉄道の夜』は,造語などによって発生する事物としての謎や,言葉がよく知られたものでも意味が取りにくいもの(機能・役割としての謎)が…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-農業(2)-

Key words:文学と植物のかかわり,米,理想の農業,植物工場 前稿に続き,賢治の農業に対する考えと現代日本の農業と人との関わりについて考察してみたい。本編のキーワードは米(稲作)である。 1.幻想第四次元空間での稲作農業 賢治が夢見た理想の農業…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-農業(1)-

Key words:文学と植物のかかわり,イタリア,農業,たうもろこしの木 賢治は,大正7年(1918)に盛岡高等農林学校(現岩手大学農学部)を卒業して研究生となる。2年後に指導教官(関豊太郎教授)から助教授に推薦されるが辞退する。翌年の11月に稗貫(ひ…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-鳥の押し葉-

Key words:文学と植物のかかわり,かはらははこぐさ,鳥の押し葉 「鳥の押し葉」という言葉が『銀河鉄道の夜』の「八,鳥を捕る人」で登場してくる。「花の押し花」や「葉の押し葉」は,聞いたことがあるが,「鳥の押し葉」の存在は『銀河鉄道の夜』で初め…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-文学と植物のかかわり-

Key words:銀河鉄道の夜,烏瓜,なでしこ,植物,つりがねそう,楊 はじめに 童話『銀河鉄道の夜』(第四次稿)には30種ほどの植物が登場する(第1図)。賢治の作品に登場する植物は,単に風景描写とは言えないものが少なくない。今回,『銀河鉄道の夜』で…