宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

童話『氷河鼠の毛皮』考 (4) -先住していた者たちの止むに止まれない反感-

物語の後半部で間諜(スパイ)の〈痩せた赤ひげ〉によって誘導された20人ほどの〈熊のやうな人たち〉が列車に乗り込んでくる。本稿では,この〈熊のやうな人たち〉が何の目的で〈タイチ〉を連れだそうとしたのかについて考察する。 〈熊のような人たち〉は〈…

童話『氷河鼠の毛皮』考 (3) -熊のやうな人たちとは何者か-

物語の後半部で間諜(スパイ)の〈痩せた赤ひげ〉によって誘導された20人ほどの〈熊のやうな人たち〉が列車に乗り込んでくる。本稿では,この〈熊のやうな人たち〉が誰かについて考察する。 〈熊のような人たち〉が列車に乗り込んでくる場面は以下の通り。 …

童話『氷河鼠の毛皮』考 (2) -タイチとは何者か-

この物語は〈船乗りの青年〉と〈月〉との悲恋物語を主要テーマにしているのではない。この物語の主人公は〈タイチ〉である。本稿では,〈タイチ〉が何者で,〈船乗りの青年〉とどのような関係があるのかを考察する。 最初に結論を述べる。〈タイチ〉のモデル…

童話『氷河鼠の毛皮』考 (1) -青年はなぜ月に話かけているのか-

童話『氷河鼠の毛皮』は,大正12(1923)年4月15日に地方紙である岩手毎日新聞の三面に掲載されたものである。この童話はイーハトヴ発ベーリング行きの最大急行列車の車内で〈タイチ〉という裕福な紳士が〈熊のやうな人たち〉に襲われるが,その列車内に偶…

童話『やまなし』考 -クラムボンは笑った,そして恋は終わった-

キーワード : 誤解,ぷかぷか,かぷかぷ,失笑,嘲笑 童話『やまなし』は地方紙の岩手毎日新聞に大正12(1923)年4月8日に掲載されたものである。「クラムボンはわらつたよ。クラムボンはかぷかぷわらつたよ。・・・」と「アイヌ」の叙事詩ユーカラのような…