宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

2021-06-23から1日間の記事一覧

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-クルミの実の化石(2)-

Key words: 文学と植物のかかわり,ほんとうのこと,かはらははこぐさ,押し葉,プレシオスの鎖,曼荼羅 前報では,ジョバンニたちが化石発掘現場で拾った「くるみの実」の化石がオオバタグルミであった可能性について言及した。本稿では,なぜ化石の発掘現…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-クルミの実の化石(1)-

Key words::文学と植物のかかわり,バタグルミ,第三紀鮮新世泥岩層,プリオシン海岸 『銀河鉄道の夜』の第三次稿(1925年秋以降~1926年頃)と第四次稿(1931~1932年頃;最終稿)の七章「北十字とプリオシン海岸」で,天上を旅するジョバンニとカムパネル…

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』-ススキと鳥を捕る人の類似点-

Key words : あってはならない感受性,文学と植物のかかわり,常不軽菩薩,雑草,厄介者 『銀河鉄道に夜』の天上に最初に登場する植物は,銀河鉄道の線路際(鉄道敷)あるいはその周辺で銀河の青白い光を浴びて銀色に光輝く「ススキ原」の「ススキ」である。…