宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

賢治の文語詩「民間薬」(第3稿)-ネプウメリてふ草の葉とは何か-

「ネプウメリという草の葉」とは,疲労回復の草の葉ではなく,「禍」を引き起こす「怨霊」を鎮魂する草の葉と思われる。この効能を有する「ネプウメリ」という名の薬草を探してみる。 本稿では,「ネプウメリ」の「ネプ」と同音の発音を含む「ねぷた」という…

賢治の文語詩「民間薬」(第2稿)-羆熊の皮は魔除けか-

前稿で文語詩「民間薬」の「干泥のわざ」は,農作業という意味ではなく,旱魃の「禍」,すなわち「旱魃禍」であるということを述べた。本稿では「羆熊の皮」について考察する。 2)「たけしき耕の具を帯びて,羆熊の皮は着たれども」とは 「たけしき耕の具…

賢治の文語詩「民間薬」(第1稿)-干泥のわざとは旱魃禍のことである-

はじめに 文語詩「民間薬」は,賢治が最初に発表した2つの文語詩のうちの1つである(もう1つは後述する「選挙」)。「民間薬」には,多田保子編集発行「女性岩手」創刊号(1932.8.15)への発表形,黄罫詩稿用紙に書かれた下書き稿と定稿の3つがある。…