宮沢賢治と橄欖の森

賢治作品に登場する植物を研究するブログです

2021-05-05から1日間の記事一覧

植物から宮沢賢治の『よく利く薬とえらい薬』の謎を読み解く(4)

前報では,〈大三〉が手に入れようとした「透き通ったばらの実」の正体が,「自分」を「さいはひ」にさせる手段としての「科学の力」であることを明らかにした。本編では,「葦」などの植物が物語に登場する意味を解明することによって,この童話に教師時代…

植物から宮沢賢治の『よく利く薬とえらい薬』の謎を読み解く(3)

3.宗教と科学に対する賢治の思い 童話『よく利く薬とえらい薬』は「宗教と科学」について,賢治がどのように考えているのかが記載されているように思える。この物語を手短に要約すれば,『農民芸術概論綱要』(1926年頃)にある「宗教は疲れて近代科学に置…

植物から宮沢賢治の『よく利く薬とえらい薬』の謎を読み解く(2)

前報では,〈清夫〉が幻影の中で見た「透き通ったばらの実」の正体が,「みんなのさいはひ」をもたらす手段としての「宗教」でありその「信仰」を手助けする「法華経」のことであることを明らかにした。本編では,童話『よく利く薬とえらい薬』や同時期の他…

植物から宮沢賢治の『よく利く薬とえらい薬』の謎を読み解く(1)

はじめに 『よく利く薬とえらい薬』は大正10年(1921)から11年(1922)頃に書かれたとされる短編童話である。この物語は主人公である親孝行の〈清夫〉と偽金使いの〈大三〉が「透き通ったばらの実」を探す物語である。〈清夫〉は森の中で「透き通ったばらの…